2e Imoromptu

即興曲第2番 cis-moll

ブランシュ・セルヴァによれば、セヴラックはこの即興曲第2番の前にc-mollの第1番即興曲を作曲し、自身の作品目録に記していたそうだが、
散逸してしまい残っていない。
また彼は、ロマン派的な作品集を計画していたというが、これも残ってはいない。

しかしロマン派の作品からインスピレーションを得た曲は多く残っている。
・休暇の日々より第1集冒頭のシューマンへの祈り、それに続く各曲、
・休暇の日々より第2集のショパンの泉・・・など、そのタイトルからもうかがえる。

この即興曲第2番も副題に「ロマン派的性格」と記されている。
弾いてみて、まず思い出したのがシューマンのソナタ2番第1楽章。
調性からすれば、ショパンの幻想即興曲と同じ嬰ハ短調だが、その息吹はまさにシューマンを思い起こす。
冒頭のメロディーラインがシューマンのそれと似ているがフランス人セヴラックの音楽は、まったく違った世界。
フォーレも即興曲を3曲残していて、セヴラックの即興曲第2番もどちらかといえばそちら寄りな雰囲気であるが、
すでにセヴラックの臭いがたっぷりだ。
速いテンポ指示であるが、ritardandoやritenutoでテンポは伸び縮みし、中間部はコラールとなっており、全体は3部形式。
セヴラック特有の躍動感とpassion、若さの勢いあふれる作品。
また一つの動機を発展させ曲の中に統一感や勢いのあるまとまりを与えている、なかなかの名作。
そして面白いことに、四分音符=144と速いテンポであるにもかかわらず、急速な16分音符にわざわざ内声を増やす書法は、
一見弾きにくいように思えても、指が転がっていってしまわないような効果があるし、
音楽が内に向かって凝縮されるような効果もあるように思え、ピアニスティックである。
作曲年は推定1898年、セヴラック26才の作。
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