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ピアノとチェロまたはヴァイオリンのための
 ロマンチックな歌
     
            Lied Romantique

         

   

1907年作曲
1929年出版
伴奏パート ルネ・ド・カステラ再編

リート・ロマンティック (ロマンチックな歌)は、チェロ(またはヴァイオリン)とピアノのために作曲されたが、
セヴラックによるピアノパートがなくなってしまったために、
友人でヴァイオリニストのルネ・ド・カステラが楽譜を再構築し1929年に出版した。
舟歌のようなスタイルで、つつしまやかな叙情をたたえノスタルジック。

溢れるばかりに、美しい旋律を生むセヴラック、ピアノパートは彼によるものでないとはいえ、
旧知の友 ルネ・ド・カステラの手によるピアノ・パートは、和声の使い方も素敵、
やさしくとろけるようで作曲家の心から遠くかけ離れていようはずもないと思う。

※出版社とルネ・ド・カステラ

セヴラックの楽譜は Edition Mutuelle,Rouart&Lerolle といった出版社から出ているが、
Edition Mutuelleはセヴラックが10年間学んだパリの音楽学校スコラ・カントリウムの創始者シャルル・ボード
の勧めで1902年に設立されたいわば、スコラ・カントリウム委託出版部のようなところ。
1909年のシャルル・ボードの死後 Alexis Rouart が出版業務を取り仕切るようになる。
その後Brissac伯爵夫人の宗教音楽楽譜出版が引き継ぐ時期などもの経て、
再び先のAlexis RouartとJacque Lerolle は Edition Mutuelle社として
作曲家たちと契約して楽譜を出版していくことに収まっていった。
ルネ・ド・カステラは変わっていく組織を統率する立場にいた関係上、
楽譜出版についてかかわっていたのである。

その、彼によるピアノパートの再編ということであるが、
セヴラックはその即興の腕前がすばらしかったという。
天から降りたインスピレーションを楽譜に書き留める・・・という作業は彼にとっては骨の折れる作業だったのかもしれない。
なぜならその時新鮮な生まれたてのインスピレーションを「たどりなおす」作業だから・・・
ルネ・ド・カステラが才能ある音楽家なら「たどりなおす」のが彼だったということなのである。


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セヴラック自身の書いたリート・ロマンティックの自筆譜が見つかったので送るよ!とリヨンの恩師セヴラック研究家のピエール・ギヨー先生から手紙とともに私の元に送られてきた。編成は、オルガンとヴァイオリン、チェロのトリオの自筆譜で、それを先生が検証して綺麗に忠実に五線紙に写してあるものが添えられていた。出版されている楽譜は親友だったルネ・ド・カステラが伴奏部分を作っているが、それとは趣の違うシンプルなもの。
オルガンなので、動きは少ないが和声がシンプルで清々しい。
2015年6/13セヴラック協会の例会で演奏させて頂きます。