セヴラックのピアノとヴァイオリンのための作品
2、  Souvenir de Céret  
 
セレの思い出

ト長調
1919~1920年作曲
1931年にRouart et Lerolleから出版。
演奏時間 約5分

幸せ溢れるこの曲はカタルーニャのテーマで作曲される。
陽気で熱狂的なこの曲、感情の吐露を避けるかのようなセヴラックにおいてはめずらしいことである。
またカタルーニャのテーマが生でもちいられていることもめずらしい。

3部形式+コーダ
3つのテーマ

第一部はくるくると回るダンスのテーマが、鮮やかに、激情的に始まる。
甲高い音色のフルート、フラビオル、派手でリズムカルなタンボリが拍をはっきりさせるように打ち鳴らされ躍動感に満ち、

セレの当時の人々の世俗的な風物が目の前に繰り広げられるようだ。
ピアノとヴァイオリンの会話というよりは、地方の民族楽器も含めたオーケストラの音響をピアノが受け持ち、ヴァイオリンが音楽を引っ張り独特の色彩付けをする。

そして、がらっと変わった場面の第二部はe-mollで悲劇的な暗雲が立ち込める。
蹴り上げるような挿入句で仕切られた後の中間部は賛美歌なのかその地方に伝わる歌なのか,、
モンポウの歌と踊りのある部分が思い起こされるようなシンプルだが心に残る美しい旋律が現れる。
この曲はピアノのための組曲「セルダーニャ」の第3曲 「村のヴァイオリン弾きと落穂ひろいの女たち」の曲想に
通するものがあり、動と静、踊りと祈りを組み合わせている。そして再現部を経て、発展をとげていく長めのコーダへとつながり、踊りは疾走するかのようにかなたへ消えていく。

「セレの思い出」の”セレ”とはフランスのなかの、カタルーニャ地方ヴァルスピール(Vallespir )地方の首都であるセレの街からその名がとられている。フランスでもここまでくると、カタルーニャ語も話され、小さな闘牛場まである。
セヴラックが住んでいた街、そして民族の踊りサルダーニャのメッカである。
生き生きとした1曲である。

セレの街の入口

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